【わたしが障害者じゃなくなる日 〜難病で動けなくてもふつうに生きられる世の中のつくりかた 海老原宏美:著】

書籍

障害者なんて、いないほうがいいのでしょうか?

難病をかかえ、人工呼吸器とともに生きる著者からのメッセージ。
人は、ただ地面が盛り上がっただけの山の景色に感動できるのだから、
同じ人間である障害者に感動できないはずがない。必ずそこに価値を見いだせるはず——。
重度障害者として暮らす著者が、その半生をふりかえりながら、
障害とはなにか、人間の価値とはなにかを問いかけます。

著者は東京都女性活躍推進大賞を受賞し、
障害者問題のオピニオンリーダーとしても活躍中。
「合理的配慮」など障害者理解に欠かせないテーマも取り上げ、
「共に生きる社会」をみんなでいっしょに考えるための1冊です。

(本文より)
わたしは生まれつき、脊髄性筋萎 縮症という、とてもむずかしい名前の病気にかかっています。
どんな病気なのか、かんたんに言うと、体の筋肉がだんだんおとろえていく病気です。
みんなが当たり前のようにしている、かけっこも、ボール投げも、リコーダーを吹くことも、そう、呼吸をすることだって、ぜんぶ、筋肉がないとできません。
その筋肉がだんだんなくなっていく病気です。
だから、みんなができることが、わたしにはできません。
小さなころは自分の足で立って歩けたけど、今は車いすを使わないと動けません。
本のページをめくるのだって、だれかの助けがないとむずかしい。
息をすることも、人工呼 吸器という機械を使わないと、できないのです。

わたしは、重度 障害者と呼 ばれています。重い、障害のある、人。
たしかにそうかもしれません。
でもね、じつは、わたしに障害があるのは、あなたのせいなのです。
そう言ったら、おどろきますか?
それはそうだよね。あなたはきっとわたしのことを知らない。
わたしもあなたのことを知らない。なのに、自分のせいだなんて。
でもね、本当にそうかもしれないんだよ。
わたしが病気であることと、「障害がある」ことは、別のこと。
わたしの生きづらさをつくりだしているのは、この世の中、この社会なのです。
わたしのような障害者でも、楽しくて、もっと生きやすい世の中って、つくれないのかな。
それはきっと、障害のない人だって生きやすい世の中なんじゃないかな。
わたしは、そんな社会をつくりたいと思っています。
そのために、目の前にいるたったひとりのあなたに、わたしは語りかけたいのです。
あなたが変われば、わたしの障害をなくすことも、できるはず。
たったひとりのあなたが、たくさんふえて、みんなになれば、いつか社会は変わるはず。
その未来を信じて、わたしはこの本をとどけます。

著者について

海老原宏美(えびはらひろみ)
1977 年神奈川県出身。1歳半で脊髄性筋萎縮症(SMA)
と診断され、3歳までの命と告げられる。車いすを使いながら小学校、中学校、高校と地域の普通校に通い、道行く人に声をかけて移動のサポートをお願いする「人サーフィン」を身につける。大学進学を機に24 時間介助を受けながらの一人ぐらしをスタート。2002 年からは自力での呼吸が難しくなり人工呼吸器を使って生活している。現在、障害者の自立を支援する「自立生活センター東大和」理事長。
2016 年度東京都女性活躍推進大賞を受賞。「価値とは人の心がつくりだすもので、それは人間にだけ与えられた能力。ただの土の盛り上がりである富士山に感動し、価値を見いだせるのなら、自分と同じ人間である障害者にも価値を見いだせるはず。ただ静かにそこにいるだけで〝人の価値とはなにか〟を考えさせてくれる障害者は、それだけでじゅうぶんに存在する意味があるのではないか」と都知事に手紙を書き、話題となる。
映画『風は生きよという』(宍戸大裕監督)出演。著書『まぁ、空気でも吸って』(現代書館)。NHK E テレ『ハートネットTV』などメディア出演多数

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